「全領域異常解決室」は藤原竜也さん演じる異常な知識や記憶力を持つ主人公が、人々の常識では考えられない不可思議な事件を解決していくというミステリードラマです。
主人公の興玉雅(おきたま・みやび)は内閣府直轄の世界最古と呼ばれる捜査機関「全領域異常解決室」(通称「全決」)の室長代理。彼は人々の常識では考えられず、最先端科学でも解明できない“不可解な異常事件”を解決するスペシャリストです。
興玉は相棒である雨野小夢(あまの・こゆめ)や、個性豊かなチームメンバーと共に、様々な事件に挑んでいきます。しかし、彼らの前に立ちはだかるのは謎の組織「ヒルコ」の存在。ヒルコは全決の活動を妨害し、世界を混乱に陥れようとしています。
このドラマでは様々な神が登場します。聞いたことのある有名な神もいれば、初めて知った神もいるのではないでしょうか。そこでこのページではドラマに登場する神の紹介と、その神が祀られている全国の神社をご紹介します。神社の近くに訪れた時は、ぜひ参拝してみてください。
天石戸別神(アメノイワトワケノカミ)
藤原竜也が演じる神。序盤から中盤にかけては興玉神と呼ばれていたが、終盤にかけて天石戸別神であることが判明。この神は天照大神が天岩戸に隠れてしまった際に、その岩戸を開かせようと試みた神々の一柱として知られています。
天石戸別神は「天の岩戸」という門の神格化とも考えられており、その後は宮殿の門を守護する神として信仰されるようになりました。ご利益は災厄除け、家内安全。
天宇受売命(アメノウズメノミコト)
広瀬アリスが演じる神。日本最古の踊り子。
天宇受売命が最も有名なのは天照大神(アマテラスオオミカミ)が天岩戸に隠れてしまい、世の中が暗闇に包まれたという「天岩戸隠れ」の神話における役割でしょう。この神話の中で、天宇受売命は他の神々を巻き込み、奇抜な踊りを披露しました。その様子に他の神々が面白がって笑いを起こし、天照大神が岩戸から顔を覗かせたという話です。
天宇受売命の踊りが神々を笑顔にし、世の中を再び明るくしたことから、芸能の神様として崇められるようになりました。ご利益は芸事上達、夫婦和合、縁結び。
宇迦之御魂神(ウカノミタマノカミ)
小日向文世が演じる神。「お稲荷さん」で有名な五穀豊穣の神。
「宇迦」は穀物を意味し、「御魂」は魂を意味します。つまり、宇迦之御魂神は穀物の魂、すなわち五穀豊穣を司る神様です。穀物は生命の源であり、人々の暮らしを支える大切なものです。そのため、宇迦之御魂神は生命力や豊穣を司る神様としても信仰されてきました。
宇迦之御魂神は稲荷神社のご祭神としても知られています。商人が稲荷神社を信仰し、商売繁盛を祈願したことから、次第に商売の神様としても信仰されるようになりました。ご利益は五穀豊穣、産業興隆、商売繁盛、家内安全、芸能上達。
猿田毘古神(サルタビコノカミ)
デリバリースタッフ役の迫田孝也が演じた神。天孫降臨でニニギノミコトの道案内役を託された神。
道を指し示す役割から道祖神と同一視されることが多く、道中の安全や旅人の守護神として信仰されています。天と地、現世とあの世など異なる世界の境界に立つ神としても考えられています。
長い鼻や赤い顔など、一般的な神様とは異なる異形の姿で描かれることが多く、天狗の起源となったとする説もあります。配偶神の天宇受売命との関係から、生殖や豊穣の神としての側面も持っています。ご利益は交通安全、夫婦和合、安産、長寿祈願。
豊玉毘売命(トヨタマビメノミコト)
福本莉子が演じた神。初代天皇の父を生む海神の娘。
豊玉毘売命(トヨタマビメ)は日本の神話に登場する重要な女神です。海神(わたつみ)の娘であり、神武天皇の父である鵜葺草葺不合命(ウカヤフキヤスフキアエズノミコト)の母として知られています。
海神の釣り針を盗まれた火遠理命(ホオリノミコト)が海神の国を訪れた際に出会います。その後、火遠理命と結婚し子を身ごもります。出産の際、夫に見られないようにと頼みますが、夫は禁を破ってしまい、豊玉毘売がワニの姿になるのを見て恐れて逃げてしまいます。夫の裏切りに傷ついた豊玉毘売は子を残して海の世界に戻ってしまいます。
ご利益は開運厄除け、安産、殖産興業、子育て。
市寸島比売命(イチキシマヒメノミコト)
第5話で登場した予知能力を持つ小学生役・諸林めいが演じた神。宗像三女神の一柱。
市寸島比売命は天照大神と須佐之男命の誓約の際に、須佐之男命の十拳剣から生まれた三女神の一柱です。他の二柱は、多紀理毘売命(たぎりひめのみこと)と多岐都比売命(たぎつひめのみこと)です。この三女神は総じて宗像三女神と呼ばれ、特に市寸島比売命は宗像大社の辺津宮(へつぐう)の祭神として祀られています。
この神は海の神としての側面が強く、航海安全や豊漁を祈願する神様として信仰されてきました。宗像大社が海に面していることからも、このことがよくわかります。ご利益は航海安全、交通安全、豊漁、商売繁盛。
宗像大社(福岡県宗像市)
大宜津比売神(オオゲツヒメノカミ)
全決で頻繁に食事をふるまっていた料理研究家役・田山由起が演じた神。五穀の起源となった女神。
大宜津比売 は日本の神話に登場する食物の神として知られています。特に穀物、つまり私たちが食べているお米や麦などの作物を司る女神として信仰されてきました。この神はあらゆる種類の食物を生み出す力を持っています。神話の中では鼻や口、尻から様々な食べ物を出し、人々に恵みをもたらす姿で描かれています。
穀物が豊かに実るように、人々の暮らしが豊かになるようにと人々に願いを込めて祀られてきました。ご利益は農業守護、五穀豊穣、養蚕守護。
月読命(ツクヨミノミコト)
石田ひかりが演じた神。暦を読む農耕と狩猟の神。
月読命は日本の神話に登場する重要な神様の一人です。天照大神、須佐之男命とともに、イザナギとイザナミの子供として生まれた三貴子の一柱であり、月の神として知られています。
月は古来より人間の感情と深く結びつけられてきました。月読命は人間の心の奥底にある感情を司る神とも考えられています。また、夜の世界を統べる神として、夜に関する様々な現象や出来事を司る神とも考えられていました。
ご利益は五穀豊穣、豊漁守護、海上安全。
水蛭子神(ヒルコノカミ)
謎の神・ヒルコ。
水蛭子神は日本の神話に登場する神様で、イザナギとイザナミの最初の子供として誕生しました。しかし、形が整わず、蛭のように骨のない姿だったため、葦船に乗せて海に流されてしまいます。形が未完成で、神としての役割を果たせなかったことから、未完成、不完全な存在を象徴しています。
また、不完全な形で生まれ、海に流されたという物語は生命の誕生と死、そして再生を象徴しているとも解釈できます。
ご利益は豊漁、海上安全、商売繁盛、産業振興。
ドラマでは悪役として登場する神であっても、人間に対して何らかの利益をもたらしています。ドラマで偏見を持つのはやめましょう。神に関して詳しい知識がほしい場合は、「古事記」を読んでみましょう。