ANAカード会員限定の「ANAでんき」は本当にお得?徹底検証レポート

ANAでんきはANAマイレージクラブ会員、特にANAカードをお持ちの方を対象とした電気サービスです。KDDIとの提携により提供されており、「マイルで生活できる世界」というコンセプトのもと、日々の電気料金に応じてANAマイルが貯まる点が大きな特徴です。しかし、本当にANAカード会員にとってお得な選択肢となるのでしょうか?電気料金そのもののコスト、貯まるマイルの価値、そしてその他の条件などを詳しく検証し、その実態を明らかにしていきます。

【ANAでんきの料金体系】東京エリアの「でんきM」と「でんきL」プランを解説

ANAでんきの料金プランはKDDIが提供する「auでんき」のプランをベースとしていることがわかります。ここでは、一般的な家庭向けである「でんきM(東京D)」と、より電気使用量の多い家庭向けの「でんきL(東京D)」プランに焦点を当て、その料金体系を詳しく見ていきましょう。

でんきM(東京D)」プランは契約アンペア数に応じて基本料金が設定されています。例えば、10Aから60Aまで幅広く対応しており、30Aの場合、税抜基本料金は850円22銭です。電気使用量に応じて電力量料金も変動し、最初の120kWhまでは1kWhあたり27円09銭(税抜)、120kWhを超え300kWhまでは33円09銭(税抜)、300kWhを超えた分は36円80銭(税抜)となっています。また、最低月額料金として税抜298円25銭が設定されています。

一方、「でんきL(東京D)」プランは基本料金が契約アンペア数ではなく、契約電力(kVA)に基づいて設定されている点が特徴です。基本料金は1kVAあたり税抜283円40銭で、電力量料金は「でんきM」と同様の段階制です。この違いから、「でんきL」プランはより多くの電力を必要とする家庭を想定していると考えられます。

【コスト比較】ANAでんき vs. 東京電力

ANAでんきがお得かどうかを判断するために、東京エリアの代表的な電力会社である東京電力エナジーパートナー(TEPCO)の「従量電灯B」プランと比較してみましょう。

複数の情報源から、ANAでんきM(東京D)の基本料金は、東京電力の従量電灯Bと同一に設定されていることがわかります。つまり、基本料金においては両者に差はありません

しかし、電力量料金を比較すると、ANAでんきM(東京D)はすべての消費量区分において東京電力の従量電灯Bよりもわずかに割安に設定されています。このことから、電気使用量が多い家庭ほどANAでんきに切り替えることで電気料金の節約につながる可能性があります。

上記の表から基本料金はほぼ同額ですが、電力量料金はANAでんきの方がわずかに低いことが確認できます。

【マイルのメリット】ANAカード会員なら毎月300マイルを獲得

ANAでんきの最大の魅力は電気料金に応じてANAマイルが貯まる点です。特に、ANAカード(クレジットカード機能付き)をお持ちの方であれば、毎月の電気料金に応じて300マイルが付与されます。通常のANAマイレージクラブ会員の場合でも、毎月200マイルを獲得できます。このマイルは電気の使用量に関わらず毎月固定で貯まるため、電気料金が少ない家庭でも一定のマイルを獲得できるのはメリットと言えるでしょう。

また、期間限定で新規入会キャンペーンなどが実施されている場合もあり、さらに多くのマイルを獲得できるチャンスもあります。例えば、新規契約で1,500マイルがプレゼントされたり、ANAカード会員限定でさらに1,000マイルが追加されるキャンペーンなどが見られます。ただし、高レートの300マイル/月を獲得するためには電気料金の支払いをANAカードで行う必要がある点には注意が必要です。

【ANAマイルの価値】特典航空券への交換がお得?

貯まったANAマイルの価値はその利用方法によって大きく変動します。一般的に、最も価値が高いとされるのは特典航空券への交換です。特に国際線のビジネスクラスやファーストクラスの航空券に交換した場合、1マイルあたり3円から6円、あるいはそれ以上の価値になることもあります。

一方、ANA SKY コインや電子マネー、商品などへの交換の場合、1マイルの価値は1円、またはそれ以下になることが多いようです。

このように、ANAマイルをどのように活用するかによって、ANAでんきを利用するメリットも大きく変わってきます。

【その他の費用や条件】契約期間や解約手数料は?

ANAでんきへの切り替えには、原則として事務手数料や工事費用はかかりません。現在利用している電力メーターがスマートメーターでない場合はスマートメーターへの交換が必要となりますが、これも無料で実施されることが一般的で、工事への立ち会いも原則不要です。

契約期間については、特に定められているわけではなく、解約手数料も発生しません。ただし、マンション一括受電サービスを利用している場合や、オール電化住宅、一部の料金プランを利用している場合は、ANAでんきに申し込むことができない場合があります。また、申し込み対象者は電気契約者本人またはその配偶者に限られます。

東京電力エリアで提供されている「ANAマイルプラン」には30A以上の契約が必要であり、支払い方法もANAクレジットカードに限定されるといった条件があります。

【シナリオ別検討】どんな人にとってANAでんきはお得?

ANAでんきがお得になるかどうかは個々の状況によって異なります。以下にいくつかのシナリオを検討してみましょう。

シナリオ1:頻繁にANA便を利用し、マイルを高価値で利用する方

国際線の特典航空券やアップグレードにマイルを積極的に利用するANAゴールドカード会員のような方は、毎月300マイルを獲得できるANAでんきは非常に魅力的な選択肢となります。電気料金がわずかに割安であることに加え、年間で3,600マイル貯まることを考慮すると、実質的なメリットは大きくなります。

シナリオ2:電気使用量が少ない一人暮らしの方

電気料金の節約額は少ないかもしれませんが、毎月200マイルまたは300マイルが固定で貯まるため、電気料金に対するマイルの還元率が高いと考えることができます。特に他の電力会社と料金が大きく変わらないのであれば、マイルが貯まる分お得と言えるでしょう。

シナリオ3:電気料金の安さを最優先する家庭

電気使用量が多い家庭の場合、ANAでんきの電力量料金は東京電力よりもわずかに安いものの、他の新電力の中にはさらに割安なプランを提供している会社も存在します。マイルの価値をあまり重視しないのであれば、他の電力会社の料金プランと比較検討する方が良いかもしれません。

シナリオ4:ANAカードを持っていないANAマイレージクラブ会員

毎月200マイルの付与はありますが、ANAカード会員と比較するとマイル獲得数は少なくなります。電気料金の差がわずかな場合、他の電力会社を選ぶメリットも考えられます。

【他の選択肢】東京エリアの電力会社も比較検討を

ANAでんきの主なメリットはマイルの獲得であり、電気料金自体は東京電力と比較して大きな差はありません。東京エリアには他にも様々な電力会社があり、それぞれ異なる料金プランや特典を提供しています。電気料金の安さを重視するのであれば、これらの電力会社のプランも比較検討することをおすすめします。

【まとめ】ANAでんきはANAヘビーユーザーにとってはお得な選択肢

ANAでんきは電気料金自体は東京電力とほぼ同水準でありながら、ANAマイルが貯まるというメリットがあります。特にANAカード会員で、貯めたマイルを特典航空券やアップグレードなど高価値な方法で利用する頻度の高い方にとっては、日々の生活費でマイルを効率的に貯められる魅力的な選択肢と言えるでしょう。

一方、電気料金の安さを最優先する方や、マイルの利用頻度が低い方は他の電力会社の料金プランと比較検討することをおすすめします。

最終的な判断を下す際にはご自身の電気使用量やANAマイルの利用状況などを考慮し、ANAでんき(またはauでんき)の公式サイトで料金シミュレーションを行うことが最も確実な方法です。