【徹底検証】ANAガスは本当にお得?マイルでガス代を賢く節約できるか解説!

ANAガスはANAグループのANA Xとガス販売を手掛けるミライフが提携し、新たに提供を開始した都市ガスサービスです 。航空会社が生活インフラ事業に参入するという異業種間の連携は、消費者にとって新たな選択肢をもたらすものとして注目されています。2025年5月21日より申し込みが始まり、ガスサービスは同年6月中旬から順次提供が開始される予定です 。

ANAガスの最大の特徴はガス料金そのものが既存の主要都市ガス会社(東京ガス、東邦ガス、大阪ガス、西部ガス)の一般料金と同額である点にあります 。しかし、料金が同じであっても毎月自動的にANAマイルが貯まるという独自の付加価値を提供しています 。この「料金据え置きでマイル付与」というモデルがANAガスが本当にお得なのかを判断する上で最も重要な要素となります。

本記事では、この「マイルが貯まる」という特性が実際の家計においてどの程度「お得」になるのかを、その料金体系、現在実施されているキャンペーン、そして既存のガスプランとの比較を通じて徹底的に検証します。これにより、どのような人にANAガスがおすすめできるのか、また注意すべき点は何かを詳しく解説していきます。

ANAガスのサービス概要と料金体系

ANAガスが提供する都市ガス料金プランは「ANAガス」の1種類のみであり、非常にシンプルな構成となっています 。これは東京ガスなどが提供しているような、エネファームやガス温水式床暖房といった特定のガス機器に特化した多様な割引プランは提供していないことを意味します 。

この「ANAガス」プランは東京ガス、東邦ガス、大阪ガス、西部ガスの各供給エリアにおいて、それぞれの一般料金に相当する基本料金と従量料金単価が設定されています 。例えば、東京ガスエリアでは月間ガス使用量20㎥までのA表で基本料金759円00銭、従量料金単価145円31銭が適用されます。大阪ガスエリアでは同じく20㎥までのA表で基本料金759円00銭が設定されています 。

ここで特に注意すべき点は、もし現在、エネファームやガス温水式床暖房などの特定のガス機器向け割引プランを利用している場合、ANAガスに切り替えると、マイルを獲得できたとしても、ガス料金自体が割高になってしまう可能性があるとANAガス自身も示唆していることです 。この点については、後述の「お得ではないケース」で詳しく掘り下げていきます。

ANAガスの最大の魅力はガス料金は既存の都市ガス会社と同額でありながら、毎月自動的にANAマイルが貯まる点にあります 。これは、普段のガス利用がそのままマイル獲得に繋がるという手軽なマイル獲得手段となります。獲得できるマイル数はANAマイレージクラブ会員かANAカード会員かによって異なります 。

  • ANAマイレージクラブ会員の場合: 毎月50マイル(年間600マイル)を獲得できます
  • ANAカード会員の場合: 毎月100マイル(年間1200マイル)を獲得できます 。ANAカード会員の方が非会員の2倍のマイルを獲得できるため、マイル獲得を重視するならANAカードの保有が推奨されます

さらに、ANAでんきも契約すると追加でマイルを獲得でき、お得度が大幅に向上します 。特にANAカード会員が「ANAガス+ANAでんき」をセットで利用すると、年間合計6000マイルを獲得できると明記されています 。これは、ガス単体契約の5倍のマイル数に相当し、セット契約の強力な動機付けとなります。この6000マイルは東京-大阪間の片道特典航空券に交換できる価値があるとされています 。

また、貯まったマイルは「ANA Pay」にチャージして「1マイル=1円」として日常の買い物に利用することも可能です 。マイルの利用価値は特典航空券への交換で最大化される傾向にあり、特に長距離路線や繁忙期の特典航空券は現金で購入するよりもはるかに高い価値を持つことがあります。

ANAガスで獲得できる年間マイル数は以下の通りです。

ANAガスが「お得」なケースとその理由

ANAガスは、特定の人々にとって非常に魅力的な選択肢となり得ます。その「お得さ」は直接的な料金割引ではなく、マイルという形で提供される付加価値にあります。

理由1:ANAマイルを積極的に貯めている人

ANAガスはガス料金自体が既存の大手ガス会社と同額であるため、ガス代の直接的な割引はありません 。しかし、毎月自動的にマイルが貯まることで、実質的な「還元」や「割引」効果が得られます。これは、ガス代という固定費から、新たな価値を生み出すという点で魅力的です。

特にANAカード会員でANAでんきも利用している場合、年間6000マイルという大きなマイルを獲得できます 。このマイルは特典航空券(例: 東京-大阪片道)やANA Payへのチャージ(1マイル=1円相当)として利用できるため、旅行好きやANAサービスを頻繁に利用する人にとっては非常に価値が高いです 。マイルを特典航空券に交換する場合、1マイルあたりの価値が1円を超えることも多く、その場合は実質的な還元率がさらに高まり、他のガス会社の直接割引を上回る可能性も出てきます。

理由2:新規契約キャンペーンを活用できる人

ANAガスは提供開始を記念して2025年5月21日(水)から8月31日(日)までの約3ヶ月間、最大12,000マイルがもらえる限定キャンペーンを実施しています 。このキャンペーンはサービス開始初期における顧客獲得を強力に推進するものです。このキャンペーンは以下の3つの特典で構成されています 。

  • 特典①:ANAガス新規契約で1,500マイル
  • 特典②:ANAでんきとのセット契約で追加500マイル
  • 特典③:抽選で30名に10,000マイルプレゼント

これらのキャンペーンマイルは、申し込み期間内(2025年5月21日~8月31日)に新規申し込みをすれば自動的に対象となり、エントリーや応募などの追加手続きは不要です 。手軽に参加できる点も魅力です。

理由3:現在、特別な料金割引プランを利用していない人

もし現在、大手ガス会社の「一般料金」など特定の機器割引やセット割引が適用されていない基本プランを利用している場合、ANAガスに切り替えることで、ガス料金自体は変わらなくてもマイル分が純粋なメリットとなります 。これは、これまで得られなかった付加価値を享受できることを意味します。

特に電気とガスのセット割引をまだ利用していない場合、ANAガスとANAでんきのセット契約はマイル獲得という形で新たな節約効果をもたらす可能性があります 。他社の電気・ガスセット割引と比較検討する価値はありますが、マイルを重視するならANAガスが有利な選択肢となるでしょう。

ANAガスが「お得ではない」または「注意が必要」なケースとその理由

ANAガスは全ての人にとって最適な選択肢とは限りません。特定の状況下では、かえってコストが増加したり、利用自体が不可能であったりする場合があります。

理由1:特定のガス機器向け割引プランを利用している人

ANAガスはエネファームやガス温水式床暖房、ガス衣類乾燥機などの特定のガス機器向けの割引プランを提供していません 。これはANAガスがマイル還元という普遍的なメリットに特化しているためです。しかし、既存の大手ガス会社はこれらの特定の機器を利用している顧客に対して、大幅な料金割引を提供している場合があります。

例えば、大阪ガスには「スマート発電料金」(エネファーム利用者向けで一般料金より約34%OFF)や「あっためトク料金」(床暖房利用者向けで一般料金より約17%OFF)、さらに「家事トク料金」(ガス衣類乾燥機・浴室暖房乾燥機利用者向けで約10%OFF)といった非常に魅力的な割引プランが存在します 。東邦ガスでも「床暖トクトク料金」のようなプランがあります 。

これらの既存の割引プランからANAガスに切り替えると、マイルを獲得できたとしても、ガス料金自体が大幅に割高になってしまい、結果的に年間総コストが増加する可能性が非常に高いです 。特に割引率が30%を超えるようなプランからの切り替えは、マイルの価値で相殺することが困難な場合が多いでしょう。

理由2:サービス提供エリア外に住んでいる人

ANAガスの利用対象エリアは、「東京ガス、東邦ガス、大阪ガス、西部ガス」の特定範囲に限定されています 。これは、ANAガスが既存の大手ガス会社の導管網を利用してガスを供給する小売事業者であるため、その供給可能エリアが限定されるためです。具体的には、東京ガスは群馬エリア、大阪ガスは西播磨サテライトエリアがそれぞれ対象外です 。また、LPガスやオール電化の利用客もANAガスの対象外となります 。

このことから、切り替えを検討する前に、自身の住所がANAガスの提供エリア内であるかを必ず確認する必要があります。特に同じ大手ガス会社のエリア内であっても、一部地域が対象外となるケースがあるため、詳細な確認が不可欠です。

理由3:マイルに興味がなく、直接的な料金割引を重視する人

ANAガスはマイル還元が主なメリットであり、ガス料金そのものの割引は提供していません 。そのため、マイルの価値を享受できない人にとってはANAガスを選択するメリットは限定的です。もし、マイルを貯めることに全く興味がなく、毎月のガス料金を直接的に安くしたいと考えているのであれば、他の新電力・ガス会社が提供する様々な割引プラン(例:電気・ガスセット割引、Web申し込み割引、特定の機器利用割引など)の方が「お得」になる可能性があります。

例えば、中部電力ミライズの「カテエネガスプラン3」は東邦ガスの「床暖トクトク料金」と比べて基本料金・従量料金ともに安いとされています 。また、大阪ガスエリアでは関西電力の「なっトクプラン」やレジルの「標準プラン」など大阪ガスの一般料金よりも年間ガス代が安くなるプランが複数存在します 。これらのプランはマイル還元ではなく、直接的な料金割引で「お得」を提供しており、マイルに価値を見出さない消費者にとってはより魅力的な選択肢となります。

ANAガスへの切り替えを検討する前にチェックすべきこと

ANAガスへの切り替えを検討する際には、単にマイルが貯まるという点だけでなく、ご自身の現在の状況と照らし合わせて総合的に判断することが重要です。以下の点を事前にチェックすることをおすすめします。

現在のガス使用量と契約プランの確認

ご自身の毎月のガス使用量(㎥)と、現在契約しているガス会社の料金プラン(基本料金、従量料金、適用されている割引など)を正確に把握することが最も重要です。これは検針票や各ガス会社のWebサイトで確認できます。この情報がなければ、ANAガスに切り替えた場合の実質的なメリットを正確に計算することはできません。

特に大阪ガスの「まとめトク料金」(ガス・電気セットで一般料金より約3%OFF)や「もっとまとめトク料金」(電気・インターネットセットで一般料金より約6%OFF)など、既存のセット割引を利用している場合はANAガスへの切り替えが本当にメリットがあるか慎重に比較検討が必要です 。マイルの価値を金額換算し、既存割引の金額と比較することで、どちらがよりお得かを判断することが肝要です。

自宅のガス機器の種類(エネファーム、床暖房など)の確認

エネファームやガス温水式床暖房、ガス衣類乾燥機、ガス浴室暖房乾燥機など、特定のガス機器を使用している場合は既存のガス会社が提供する専用割引プラン(例:大阪ガスの「スマート発電料金」「あっためトク料金」「家事トク料金」など)が適用されている可能性があります 。

ANAガスではこれらの専用割引がないため、マイル獲得のメリットとガス料金が割高になる可能性を天秤にかける必要があります 。この比較はマイルの価値を金額換算し、ガス料金の差額と比較することで具体的に行えます。場合によってはマイルの価値がガス料金の増加分を補えないこともあります。

ANAカードの保有状況とANAでんきの利用意向

ANAガスのマイルメリットを最大限に享受するにはANAカード会員であること、そしてANAでんきとのセット契約が非常に有利です。ANAカードを保有していない場合や、ANAでんきへの切り替えに抵抗がある場合は、ANAガスの「お得度」は相対的に低下します。

ANAカードの年会費(例: ANA JCB CARD FIRSTは5年間無料、ANA JCBワイドゴールドカードは16,500円/年)も考慮に入れるべきです 。マイルの価値が年会費を上回るかどうかの検討も総合的な「お得度」を判断する上で不可欠です。

まとめ:ANAガスはこんな人におすすめ!

これまでの検証を踏まえ、ANAガスが本当にお得であるかどうかは、個々のライフスタイルや優先順位によって大きく異なります。

ANAガスが最もメリットが大きいターゲット層は以下の通りです。

  • ANAマイルを積極的に貯めており、ANAカードを保有している方
  • ANAでんきも利用中、または利用を検討している方
  • 現在、特定のガス機器向け割引プラン(エネファーム、床暖房など)を利用していない方
  • 新規契約キャンペーン期間中(2025年5月21日~8月31日)に申し込みができる方

ANAガスはマイルという形で「お得」を提供する新しい選択肢です。ガス料金そのものの割引ではなく、マイル還元による間接的なメリットを享受したい方に特に適しています。ご自身のライフスタイル、現在のガス契約状況、そしてマイルへの関心度合いを総合的に判断し、最適なガス会社選びを行いましょう。