今回は観光庁が発表した2025年1月・2月の宿泊旅行統計調査(速報値)を基に最新の観光トレンドを分析し、今後の展望について考察します。本調査は観光業界関係者にとって非常に重要なデータが含まれていますので、ぜひ今後の事業戦略の参考にしてください。
延べ宿泊者数の動向
2025年1月の延べ宿泊者数(全体)は4,888万人泊(前年同月比+7.1%)、2月は4,833万人泊(前年同月比+1.0%)となりました 。
- 日本人延べ宿泊者数:1月は3,373万人泊(前年同月比-2.0%)、2月は3,503万人泊(前年同月比-3.6%)と、前年同月比で減少しています
- 外国人延べ宿泊者数:1月は1,515万人泊(前年同月比+34.8%)、2月は1,330万人泊(前年同月比+15.5%)と、大幅な増加が続いています
このデータから、国内旅行需要は一部減少しているものの、外国人旅行者数は依然として増加傾向にあり、日本の観光市場を大きく牽引していることがわかります。
客室稼働率の状況
2025年1月の客室稼働率は全体で54.6%、2月は60.3%でした 。
- 1月に客室稼働率が80%を超えた都道府県は、リゾートホテルで1箇所ありました
- 全体の稼働率では、大阪府が71.7%と全国で最も高い値を示しています
この結果から都市部を中心に客室稼働率が回復しており、宿泊施設はインバウンド需要の増加を背景に、収益性の改善が見込まれます。
都道府県別の詳細分析
- 延べ宿泊者数:1月は東京都が8,521,480人と最も多く、次いで大阪府、北海道の順となっています 。前年同月比では北海道が+34.9%、山梨県が+26.4%、福井県が+25.4%と高い伸びを示しました
- 日本人延べ宿泊者数:福井県が前年同月比+24.2%と最も高く、次いで宮崎県、青森県、三重県、愛媛県の順となりました
- 外国人延べ宿泊者数:1月は東京都が4,718,790人と最も多く、大阪府、北海道と続きます 。前年同月比では香川県が+135.4%、富山県が+123.3%、徳島県が+123.4%と高い伸びを示しました 。
これらのデータから、地域によって観光需要の回復に差が見られることがわかります。特に外国人旅行者数は三大都市圏(東京、大阪、京都)への集中が続いているものの、地方部への拡大も徐々に見られています。
国籍別の外国人延べ宿泊者数
2025年1月の国籍別外国人延べ宿泊者数は第1位が中国、第2位が台湾、第3位が韓国、第4位が米国、第5位がオーストラリアであり、上位5ヶ国で全体の68.5%を占めています。
前年同月比では、全体で41.2%増加しており、特に中国(+137.5%)、ロシア(+70.8%)、マレーシア(+67.5%)からの旅行者が大幅に増加しています 。
今後の展望と対策
今回の調査結果を踏まえ、今後の観光業界は以下の点に注力していく必要があると考えられます。
- インバウンド需要への対応強化:外国人旅行者の増加に対応するため、多言語対応の強化や多様なニーズに応じた旅行プランの提供が求められます
- 地方創生と観光:外国人旅行者の地方への誘客を促進し、地域経済の活性化に繋げることが重要です。そのためには地域の魅力を効果的に発信し、観光インフラの整備を進める必要があります
- 持続可能な観光の推進:観光客の増加に伴う環境問題や地域住民との摩擦を回避するため、持続可能な観光の実現に向けた取り組みが不可欠です
2025年1月・2月の宿泊旅行統計調査の結果から、外国人旅行者数の増加が日本の観光市場を大きく支えていることが明らかになりました。観光業界関係者の皆様は、このデータを参考に今後の事業戦略を立案し、持続可能な観光の実現に向けて協力していくことが求められます。
【参考資料】